園での生活を見てみよう!

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今年の作品展を迎えて(園長)

「星の王子さま」(アントワーヌ・ド・サン=テグジュベリ著、ドリアン助川訳、皓星社刊)を読んでいます。その冒頭部分でピピピーと来たことがありました。「子どもは未熟な人や小さな大人ではない」ということ、また「大人になっても小さな子どもの頃に持っていたサムシングが必ずある」ということです。作品展の子どもたちの作品を前に、私たち大人は「上手・下手」という見方ではなく、心の中にサムシングを呼び起こし想像の翼を広げて、子どもたちの心の中を覗きこみ楽しんでいただきたいと思っています。

多くの方が「星の王子さま」を読まれたことがあると思いますが、私は実は初めてちゃんと読んでいるところです。とっても面白いお話しで感動しています。以下、少し引用させていただきます。
六歳の時のお話から始まります。
『私はジャングルで起きていることについて考え、頭がいっぱいになってしまいました。それで自分の出番とばかり、色鉛筆ではじめての絵を描きあげたのです。ほら、こんな絵です。
 この大傑作を私は大人たちに見せました。そして、私の絵がこわくてぞっとするかどうか聞いてみたのです。そうしたら大人たちは、「どうして帽子がこわいんだ?」と言うではありませんか。
 私の絵は帽子を描いたものではありません。ゾウを消化している大きなヘビ、ボアなのです。だから大人たちにもわかるように、続いてボアのお腹のなかを描いてみました。大人たちというのは、いつも説明を必要とするものなのです。ほら、人生二度目の絵はこんな感じです。
 すると、大人たちは私に、ああだこうだと言いはじめました。ボアの外側だろうが内側だろうが、そんな絵はもうほうっておきなさい。それよりも、地理や歴史、算数や国語にもっと興味を持ちなさいと言うのです。そういうわけで、私は六歳にして、画家としてのかがやかしい未来をあきらめることになりました。ボアの絵一号と、ボアの絵二号の失敗によって、私はくじけてしまったのです。大人たちというのは、自分一人ではなにも理解しようとしません。これは子どもたちにとってすごく疲れることですよね。大人にはいつも説明をしてあげなければいけないのです。』
こうして私は飛行機の操縦士になり、サハラ砂漠に不時着し、星の王子さまに出会います。 『そういうわけで、私は、心からほんとうのことを話せる相手がいないまな、一人で生きてきました。六年前、サハラ砂漠に飛行機が不時着するまで、ずっとそうでした。』

星の王子さまからヒツジの絵を描いてとせがまれます。仕方なく描いてみせるのですが、三枚描いたどれも星の王子さまは「欲しいヒツジじゃない」と言います。とうとうぞんざいに横の面に覗き穴を三つ開けた箱の絵を描きました。そして「これは箱だよ。きみのほしいヒツジはこのなかにはいっている」と言うと「これだよ!ぼくはほんとうにこんなのがほしかったんだ!このヒツジ、草をたくさん食べると思う?」星の王子さまは顔をかかやかせたというのです。

小さな子どもの頃のサムシング、目には見えない本当に大切なもの、幼稚園の保育や行事を通してそういうものを育み大きくしたい。作品展は子どもにとっても私たちにとっても二度とないチャンス、一生に一度の作品展が充実した時間となりますよう心から祈っております。